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目が覚めると・・・そこは

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ふと目が覚めた

目の前に友人の”うっしー”の顔があった

小さな声で、それでいて物凄く優しい話し方だった

『目、覚めたか?』

「ああ・・・」

『起きた? もう大丈夫そうね』

きれいな女性の顔が新たに目の前に現れ、そう言うと何処かに消えた

後姿が真っ白だった 白衣?

『ずっとうなされてたよ』

まただ、物凄くごつい顔しているのに優しい口調で”うっしー”が囁く

「ここどこだ?」

『覚えてないのか?』

辺りを見回した

どうやら病室らしい

起きようとした

『大丈夫か? 起きれるか?』

「ああ・・・」

起き上がろうとした時、足に痛みが走った

見ると右足のジーンズが膝上から切られて包帯が巻かれていた

服は血だらけ たぶん自分のだ

『覚えてるか?』

「・・・いや・・・何があった?」

『事故った』

「・・・そっか・・・”こうちゃん”は?」

『帰った』

「そっか・・・ずっと傍にいてくれたのか?」

『まぁな』

「・・・ありがとう」

『立てるか?』

”うっしー”が手を貸してくれた

肩を借りトイレに向かった

鏡を見て笑った

「ひっでぇ顔だな」

『だな』

二人して笑った

鼻血を拭いた跡がある

唇が3倍くらいに腫れ上がっていた

下の歯が歪みグラグラしている

歯を触ってみる

今にも何本か取れそうだ

『触らん方がいいよ 取れるぞ』

「分かった・・・」

「”こうちゃん”は無事か?」

『大丈夫 無事 親が迎えに来て連れて帰った』

「そっか・・・」

『看護師さんが気がついたら帰っていいって』

「でも、病院代は?」

『”こうちゃん”の親が払っていった』

「そっか・・・」

話はこうだ

私たちは3人は馴染みのスナックで飲んでいた

その後タクシーで帰り、車を止めてあった駐車場でそのまま仮眠をとった

車は”こうちゃん”のだ

運転席に”こうちゃん”

助手席に自分

後部座席に”うっしー”

まだ暗く明けない朝方、目が覚めた”こうちゃん”

家路につくため車を運転

大きな上り坂道のカーブで工事をしていたらしい

道の前には大きなユンボ

誘導員が指示していたとのこと

後部座席でたまたま起きた”うっしー”

『おーい 起きてるかぁー』

「うん」

返事する”こうちゃん”

だが、”うっしー”の目にはこの時、誘導灯を振り上げ

大声で叫ぶ誘導員の姿が映ったという

「うん」と返事した後、そのまま”こうちゃん”は寝てしまったらしい

ユンボに突撃

勝てるわけない

ピ~ポ~ ピ~ポ~

救急隊員が来て

「おい こいつ寝たふりしてやがる 起きろ!」

と、起こされる ”こうちゃん”

”うっしー”曰く、”こうちゃん”は怒られると思い狸寝入りしていたがすぐばれたらしい

・・・アホだ(笑)

私はと言うと、行儀良く足をダッシュボードの上に乗せて寝ていたらしく

ぶつかった瞬間、顔面で膝に思いっ切り頭突きをしたらしい

シートベルトなんてしてなかったので、足を上に置いていなければそのままフロントガラスを割り外にダイブしていただろうとのこと

行儀良くて良かったぁ(笑)

なぁんて言ってる場合ではなく、外に出ない代わりにダッシュボードにのめり込んで出すのに苦労したらしい

後部座席にいた”うっしー”が私の顔を叩いていたという

『起きろ』

と、顔面血だらけの私の顔を何度も何度も・・・

さぞかしビックリしたことだろう

”うっしー”必死だったと思う

記憶は無いのだが私は救急隊員の言葉に返事をしたらしい

それで”うっしー”も、ひと安心したという

数日後、”こうちゃん”と車を見に警察へ

「・・・よく生きてたな・・・俺達・・・」

『・・・だな・・・』

フロントがめちゃくちゃにひしゃげ、ボンネットは折り紙のように曲がり、フロントガラスは蜘蛛の巣のようなヒビが広がっていた 破壊されたドアが衝撃の凄まじさを物語っていた

きっとノーブレーキで突っ込んだのだろう

残念ながら? なのか 幸いにも? なのか 当時の記憶がない・・・

だから痛みも感じていない・・・

起きてからは痛んだけど(笑)

必要な物を”こうちゃん”は集め始めた 私はと言うと自分が寝ていた助手席を見ていた

車を大切にしていた”こうちゃん”

声を掛けることが出来なかった・・・

人身?物損?事故 もう免許はないだろうと言っていた・・・

無言で散らばったCDをかき集めた

最後に廃車になった車の上に乗りセルフタイマーをセットし笑顔で記念撮影

その後、迷惑をかけた方々にお詫びとお礼をしてまわった

私は抜糸の為に通院 半年程足を引きずることに

たまたま運がよくこの程度で済んだのだが、この後”みーきー”と”ちーえー”のお店に行くことはなかった・・・

なんとなく行きづらくて・・・

数年後、風の噂で二人とも結婚したと聞いた

あれから私も年を取り月日が流れた

”こうちゃん”は相変わらずだ 今では笑い話だ


”みーきー”と”ちーえー”

今頃どうしているのだろう・・・

上京した”うっしー”

元気にしているだろうか・・・

”こうちゃん” いつも笑っているが

ずっと気にかけている あの日の私と”うっしー”2人のことを・・・

長い年月が経った今も、新たに車の免許を取得してはいない・・・

それだけ”こうちゃん”にとって事故の残した爪痕は大きな出来事だったのだろう・・・

願わくば、もう”こうちゃん”は”こうちゃん”自身を許してもいいのではないだろうか・・・

尤も”こうちゃん”の場合、何も考えていないことの方がおおいのだが